圧力比は圧縮機の知識、冷凍機械の保安管理技術で必ず出題される内容ですので、ぜひ押さえるようにしてください。
逆に、圧力比はそこまで難しい考え方ではないので、覚えてしまえば得点源とすることができます。
また、結論から言うと、圧力比と圧縮比は同じ意味です。どちらの名称を使っても同じですので覚えやすい方を選んでください。
今回の内容はこちら!
- 圧力比とは
- 圧力比の計算方法(具体例)
- 圧力比が上がると圧縮機の効率は低下する
圧力比とは圧縮機が圧力を上昇させた割合
圧力比は、圧縮機が気体を圧縮させたとき、どのくらい圧力を上げたかを測る指標です。
上の図のようなシンプルな往復圧縮機を考えてみます。
圧縮機の吸入口から気体が入り込み、シリンダで圧縮されて気体は吐出口から出ていきます。
このとき、吐出ガスの圧力Pkを、吸入ガスの圧力Poで割った値が圧力比となります。
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$$ \rm{圧力比=\frac{吐出ガスの圧力(Pk)}{吸入ガスの圧力(Po)}}$$
このとき注意すべき点は、こちらの圧力はゲージ圧ではなく、絶対圧で表します。
圧縮機での圧力比の計算方法
じゃあ実際に圧力比がどのような値になるのかを具体的な数値を用いて計算してみましょう。
ここにR410A冷媒を採用した冷凍機があったとします。
この時、圧縮機の吸入側にPo=0.8MPaの冷媒ガスが入りこみました。
圧縮機が0.8MPaの冷媒ガスを圧縮し、Pk=3MPaまで圧縮したとすると、圧力比は以下のように計算できます。
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$$ \rm{圧力比=\frac{Pk}{Po}=\frac{3}{0.8}= 3.7 }$$
圧力比はこのように、とてもシンプルな計算で求めることができます。
圧力比が上がると圧縮機の効率は低下する
圧縮機には、性能を左右する以下のような効率があります。
圧力比に関係する効率
- 体積効率
- 機械効率
- 断熱効率
圧力比が上昇すると3つの効率は全て低下していきます。つまり、圧縮機の効率は悪くなっていきます。
順番に見ていきます。
体積効率
圧力比が上がると体積効率は低下します。
体積効率は、シリンダからの冷媒の漏れ量が増えると低下していきます。
例としてシリンダとピストンの隙間(クリアランス)がaだけある圧縮機を考えます。
このとき、圧力比が1と10の場合での冷媒の漏れ量を比べてみましょう。
同じ隙間であっても、圧力比が1と10では、冷媒が漏れていくスピードが違いますね。
圧力比1の時より、10の方が圧力差がついているので、冷媒が押し出される力が異なります。
風船を例にとってみます。
少しだけ膨らませた場合(圧力比1)と、パンパンにした場合(圧力比10)、口を閉じずに手を離せば、勢いよく飛んでいくのはパンパンにはった方ですよね。
これと同じで、圧力比が大きければ冷媒は隙間から勢いよく流れていくため、体積効率は低下していきます。
機械効率と断熱効率
この二つについては、式を用いて以下の記事で詳しく解説していますので、そちらを参照してください。
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体積効率|計算式を用いて詳しく解説【冷凍機械の圧縮機】応用編
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まとめ
圧力比について勉強しました。
圧力比の計算方法、また、圧力比があがると圧縮機の効率が低下する、ということは、冷凍機械の試験においては頻出問題なので、必ず覚えておくようにしましょう。
簡単な式ですし、覚えておく内容もシンプルですので、これを覚えれば必ず問題を解けるようになるおいしい内容です。
お役にたてば幸いです。