熱の伝わりってどんなものがあるのかしら。参考書に書いてある内容を読んでもいまいちわからなくて。生活の中の現象で知りたいわ。
こんな悩みにお答えします。
この記事では以下について解説しています。
今回の内容はこちら!
- 熱伝導
- 対流熱伝達
- 熱放射(熱輻射)
わかりやすいように数字は使わず、日常生活でおきる現象で解説していきます。
もくじ
熱の伝わり方は3種類
生活の中の現象で熱の伝わりを考えてみると、どれもみなさんが経験したことのある身近な現象ばかりです。
今回はその熱の伝わり方の3つである、熱伝導・対流熱伝達・熱放射について、生活の中での現象を例にとって解説して行きます。
熱伝導
熱伝導は、物体の中を熱が伝わっていく現象のことです。
ここでは、銅でできた円柱の棒の片側を火で熱することを考えます。
この絵のように、棒の左側だけを火に近づけ、熱を加えます。
すると、時間と共に熱は棒の右側に伝わっていきます。
これは、熱が銅の棒の中をじわじわと移動していった結果、右側まで熱くなったわけです。
このように、物体の間で熱を伝える現象が熱伝導です。
熱伝導をミクロで解説
熱伝導をもっとミクロに見てみます。
先ほどの銅の棒を、原子レベルで見てみると、こんな感じで銅原子が並んでいます。
この丸いもの一つ一つが銅原子と考えてください。
先ほどと同じように銅棒の左側を熱していきます。
この振動こそ、熱の正体なんです。
原子が振動すればするほど、熱をもっている状態、ということになります。
すると、熱をもらった銅の原子たちは振動します。
銅の棒は固体なので、原子は振動するだけであちこち動くことはありませんが、熱を与え続けると、振動は徐々に右側の原子にも伝わっていきます。これが熱伝導です。
熱伝導をミクロで見ると、原子の振動が伝わることで熱を伝える、ということがわかりました。
対流熱伝達
流体(気体や液体など)が動いたときに、熱を一緒に運ぶ現象を対流熱伝達といいます。
気球が飛ぶ原理も、熱した空気が対流によって上にあがる現象を利用しています。
対流というのは、空気や水など、気体や液体の流れのことです。
寒い冬にエアコンのスイッチを入れて、部屋をあたためることを考えてみます。
エアコンからはあたたかい風が部屋に送られていきます。
しばらくすると部屋のなかは、冷たい空気とあたたかい空気が入れ替わり、快適な温度になりますね。
このように、動いている、つまり対流している空気や水などの流体が熱を運び、伝わる現象が対流熱伝達です。
熱伝導と、熱伝達の具体的な違いについては、以下の記事を参照するとより理解が深まります。
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熱伝達率・熱伝導率|違いをわかりやすく解説
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対流熱伝達をミクロで解説
対流熱伝達もミクロレベルで考えてみます。
固体の原子(分子)は動かず、振動するだけでしたが、液体や気体の原子(分子)は自由に動き回っています。
この原子(分子)が熱を持った状態で飛び回る、これが対流熱伝達です。
熱をもった分子は活発に動き、あちこち動く一方、冷たい分子は動きが少なく、熱い分子に比べて留まっています。
この動きの活発さが対流熱伝達で、活発に動くほど熱く感じるようになります。
これは非常にシンプルで、考えやすいかと思います。
熱放射(輻射)
熱の伝え方の3つ目となる熱放射ですが、太陽光のように、電磁波が伝える熱のことを熱放射といいます。
太陽光を例に考えてみます。
僕たちが太陽光を体に浴びると、温かい(あるいは暑い)と感じます。
この熱は、液体や気体などの姿をした物体、物質が伝えているのではなく、光(電磁波)が運んでいます。
温度ごとに異なる形をした光(電磁波)が、人や物にあたることで、その光を熱として感知して温かく感じます。これが熱放射の正体です。
熱放射がなければ地球は極寒
太陽は非常に熱く4000℃以上ありますが、地球と太陽の間の宇宙空間は-270℃と、とても冷たいのです。
また、距離は1億4960万kmと非常に遠く離れており、太陽から出た光が地球に届くには8分以上かかります。
こんな距離でも光が当たった瞬間に温かく感じるのは、熱が光に運ばれているからなんです。
宇宙には空気がないため、熱伝導や対流熱伝達では熱を地球まで伝えることはできません。
そのため、もしも光が熱を伝えてくれる熱放射という現象がなければ、地球は極寒の世界になっているに違いありません。
太陽以外の熱放射
太陽以外にも熱放射を利用した熱の伝え方をするものがあります。
その代表例として、ストーブがあります。
ストーブ自身は炎を発するため、対流熱伝達によって空気をあたたかくします。
でも、ストーブの周りにいて暖かく感じるのは、熱放射によるものなんです。
そのため、ストーブの周りに熱放射の電磁波をさえぎる物や人がいると、とたんにあたたかさを感じなくなってしまいます。
熱放射の弱点は、さえぎるものが存在すると、熱を伝えることができなくなる、ということです。
このように、熱放射は僕らの身近なところでたくさん存在しています。
最後に
ここまで熱の伝わり方3種類を解説してきました。
どれも僕らの生活の中で感じられるものばかりだったと思います。
熱が伝わる現象は僕らの身近なところにたくさんあります。
勉強が難しいいなと思った時は、生活のなかでの現象に置き換えると、イメージしやすくて理解が進むと思います。
お役に立てば幸いです。